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全日本薬膳食医情報協会

【鍼灸師おすすめ 夏の冷え性改善方法5選】夏なのに冷えるあなたへ ①
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◾️冷えを改善するのは夏が良い? 

 

本格的に暑い日々が続く今日この頃ですね。

「この暑くなる時期に冷え性対策?」「今は暑いし関係ないかな」そう思われる方も多いと思います。実は、中医学(東洋医学)では『冬病夏治(とうびょうかじ)』という考え方があります。

これは、読んで字のごとく「冬にあらわれる症状を夏のうちに治す」ということです。冷えという症状は気候が寒くなるとおこったり悪化したりしますよね。 

一方、夏は暑く、中医学的にいうと陽の気が多い状態なので自然界の陽(暖かいパワー)の力を利用することによって治していこうという考え方なのです。

これからの暑くなる時期は冷え性を改善する絶好のチャンス。自然のパワーを借りて体質改善にチャレンジしてみましょう。

 また現代社会の夏は、クーラーがどこでもかかっていて会社に1日中いたら足が冷えたり体が冷えたり、電車やお店の中も寒いことがよくありますよね。

 暑い日差しの中にいるのは、1日の中で通勤時間の少しの間だけで、実はそんなに暑い思いをしていなかったりします。そういった意味でも夏に冷えを意識することは大切ですね。 

◾️冷え性? 冷え症?

現代医学では特定の病気による冷えでない限り、病気ではないと考えられていますが、中医学では冷え症は病ととらえるので症状の「症」の字が使われています。症状としてとらえるということは、その方の状態を判断し、改善していくことで状態を良くしていくことができるということです。

「自分は冷え性という体質だから仕方がない」とあきらめないでください。

現代医学では冷えは病気ではないと考えられますが、冷えの原因疾患として、貧血症のほかレイノー病やパージャー病などの四肢動脈系の血管障害や甲状腺疾患等も考えられるので心配な方は病院に行って診察を受けてみてください。

 

◾️冷え性の原因って何? 

中医学的に見てみると、冷え性の根本原因は「虚証(きょしょう)」が多いと考えます。

中医学では体質を「虚(きょ)と実(じつ)」に分けて判別します。

虚(きょ)とは人体を構成する必要なものが足りない状態、実(じつ)とは人体を構成する必要なものが多すぎる、余っている状態を表します。

中医学では健康とは、「ちょうど良い状態、バランスが取れている状態」ととらえるので、「多い」もしくは「少ない」のどちらかに偏っている状態は不健康と考えます。


◾️中医学の視点で解説!冷え性の人が足りないもの 

では、人体を構成する必要なものとは何でしょう?

中医学では、人体を構成する基本物質は、気(き)、血(けつ)、津液(しんえき)の3つととらえます。

この3つの物質の中でも冷え性の場合は、気(き)と血(けつ)が大きく関わってくるのです。

  • エネルギー(気)が足りない

気(き)とはわかりやすい言葉で言うと、エネルギーになります。体を動かすエネルギーが足りないことによって体が冷えてしまいます。

またエネルギーは熱を生み出すものなので、熱を生み出すエネルギーが足りないことによって体を温めることができず冷えをうむのです。

  • 血が足りない

これはわかりやすいですね。貧血の方や検査数値では問題なくても「なんか血が足りない気がする」と思う方は、特に女性に多いと思います。体を巡り栄養物質を届ける血が足りないことによって体が冷えてしまいます。

気(き)と血(けつ)はどちらかが足りない場合もありますし、気(き)と血(けつ)の両方が足りないこともあります。エネルギーも足りないし、血も足りない状態ですね。

また血がサラサラでなかったり、血の量が少なく血液の流れが悪くなって冷えを起こすこともあります。

 

◾️冷え性の原因、女性に多いのはなぜ?

日本の女性は痩せすぎている

日本の女性は、痩せていることへの美意識が強く日常的にダイエットを行い細い体を維持している人が多いと思います。

日本の20代女性の約2割が「痩せすぎ」ており、その栄養状態は終戦直後より悪いという調査結果が以前報告されました。WHO(世界保健調査機関)は、BMI 18.5未満を「低体重(痩せ)」としているのですが、痩せているとされる20代女性は21.7%にのぼるそうです。(2017年「国民健康・栄養調査」厚生労働省より)。

このように体を作る栄養がそもそも足りない状態だと、エネルギーも血も十分な量が作れないですよね。

筋肉量が少ない

また女性は男性に比べて筋肉量も元々少ないです。筋肉の量が少ないと体を巡る血液を戻す力が弱くなります。

このことにより下半身にいった血液が戻ってくることができず、下半身に血液がたまり、上半身は血液不足ということがおこります。上半身の血液不足によって頭痛や肩こりという症状が起こることもあります。

月経の影響

思春期から閉経まで女性には月経があり月経周期によってホルモンバランスが変動します。ホルモンの変動、自律神経の乱れによって冷え性を起こすこともあります。

なのでホルモンの変動が大きい更年期の女性にも冷え性が多くみられます。

また毎月月経により血液を消耗するということもありますね。

男性もご注意

では、男性は冷え性にはならないのでしょうか?実はそんなことはありません。最近は男性の冷え性も増加しているのです。近年、オフィスワークが多く、男女問わず運動不足であり、筋肉を使わない生活の方が増えています。男性だから筋肉量があるといって油断していると危険ですよ。また日本は湿気が多い気候であり、中医学的に見ると胃腸に優しくない自然環境になります。そういった環境要因や日本人の気質もあり、日本人は胃腸が弱い民族と言われています。

「胃腸が弱い」ということは、食べたものを栄養に変える力が弱いのでエネルギーや血をうまく作れず、これも冷えの原因になります。

男女問わず日本人は胃腸のケアには気をつけたほうが良いですね。

 

◾️タイプ別冷え性

冷え性と一口で言ってもいろんなタイプの冷え性があります。

例えば体のどの部分が冷えるか、によって下半身型、手足の末端型、内臓(お腹)型、全身型に分けられます。

ただ「冷えはありますか?」と尋ねても、自分ではその状態が当たり前なので自覚がない患者さんも意外と多いです。(自分で体の各部位を触ってどこが冷えているか、なんて普通は確かめないですよね笑)

 

なので私たち鍼灸師は、問診の際に患者さんに質問するだけではなく、お腹や体をさわって痛みや硬さだけではなく寒熱(かんねつ)を確かめていきます。

ここでいう寒熱(かんねつ)とは温かいか冷たいか、ということです。

「足先が冷えているのか、もっと上の膝のあたりまで冷えているのか?」や「お腹も上の方が冷たいのか下腹部の方なのか」、「体全体での熱のバランスがどれくらい違うのか」を見ていくと若い男性でも思ったより冷えていたりするので、先入観や自己申告だけではなく、触って確かめるのは重要だったりします。

 

◾️冷え症の人の症状について 

ここまで冷え性の原因やどう言った部分が冷えるのか、について見てきましたが、では「冷え性」の人にはどのような症状があるのでしょうか?

  • 手足が冷える
  • 足腰が冷える
  • 低体温
  • 頭痛
  • 肩こり
  • お腹が痛い、軟便・下痢傾向
  • トイレが近い
  • 月経痛がひどい
  • 風邪をひきやすい

冷え性の人は「手足や体が冷えてつらい」や「体温が低い」や「クーラーの風に当たるのが嫌い」のような声をよく聞きますが、上記を見ていただくと寒さを感じやすいだけではなく、いろいろな不調につながっていることがわかると思います。

裏を返すと冷え性を改善するということはそれ以外に起こっている体の不調を一緒に改善することにもつながるのです。

中医学は、その方の体質的に弱い部分を改善するので、1つの症状だけではなくその方が悩んでいる他の不調も一緒に改善しちゃう、という一挙両得なことがよくあります。

 

【第2回へ続く。】第2回は冷え性の改善方法について詳しくお伝えしていきますね。

 (薬膳Any協会理事・鍼灸師:岡 麻由美)